第三回は演劇・音楽班の三曲のイベントに協力して下さっている
米川文清様、五月女文紀様、安島瑶山様にお話をお伺いいたしました。
 

-演奏を聴く人に伝えたいことはありますか?
米川先生:ピアノとかの洋楽っていうのも
      素晴らしいものだとは思いますけれども、
      邦楽に理解があってこその洋楽だと思っています。
      自分の国の音楽、邦楽への理解があってこその洋楽だと。
      外国に行ったときに自分は日本人だと自覚することがあり、
      外国の人から「日本にはどんな楽器があるんだ?」と聞かれたときに、
      説明できなかったり、弾けなかったりすると、
      「自分の国の楽器が弾けないのか」ということが結構あるみたいです。
      だから「自分のところの文化はこうだよ。あなたの国はどう?」
      と言えるのが、本当の国際交流だと思います。
      ですので、自分の国の文化を理解して、
      その上で外国の文化を知って欲しいかなと思っています。
安島先生:僕ら伝統的な楽器の演奏家は、
      みんな感じていることだと思うのですけどやはり自分の国の
      音楽なわけですから、それは米川先生がおっしゃった様に、
      文化の伝達ツールという位置づけの楽器というのは
      あってしかるべきだと思うのですね。現在の学校教育のなかでは、
      小学校高学年になって初めて鑑賞教材として日本の伝統的な音楽が
      扱われますが、日本大好きPJの三曲のイベントの様に
      小学生3年生までの低学年の児童を対象としたり、また幼児教育の中で
      生の演奏を聴いてもらえるといいのは、とても良い機会だと思いますね。
      子ども達が実際に聴いて、どう受け止めるか、
      興味を示すか示さないかというのは、子どもたちの自由ですが、
      その機会すら与えられていないのが非常にもったいないなと思っています。
      そして、今までに2回日本大好きPJの三曲のイベントで
      演奏させていただき非常に僕は楽しい経験をさせてもらいました。

-箏、三味線、尺八の魅力ってなんですか?
米川先生:箏を含む弦楽器の醍醐味は、自分で調整して
      音を自分で作っていくというのが醍醐味ですかね。
      叩けば音が出るというのではなくて、
      自分の耳で自分の感性で音を作っていくっていう。
      また撥弦楽器なので悲しいことに音が伸びないのですね。
      その伸びない中でどうやって曲を表現していくかが、
      それぞれ演奏者の個性が出るのでそれが特徴かなと思いますね。
五月女先生:三味線の魅力は三本の糸と十三本の糸との合奏ですね。
       いかに、日本の音楽の微妙な間合いを楽しめるかですね。
       お琴にしろ、三味線にしろ、尺八にしろ
       微妙な駆け引きを楽しめる楽器だと思いますね。
安島先生:尺八は非常に音が出しにくいのですが、
      練習を重ねることによってその人それぞれの音色を
      出せるようになるというのがこの楽器の魅力だと思います。
      また、洋楽器と合わせても違和感なく溶け込めるというのが、
      音色の魅力の1つであるとも思います。竹を切って、
      穴を開けただけにみえる単純な構造の楽器が、
      これだけの良い音がでるという点も魅力ですね。

-三曲で使う箏、三味線、尺八と
他の楽器とのコラボレーションなどあるのですか?

古典的な楽曲には他の楽器は入れません。
でもオーケストラとかだったらコラボレーションはありますね。
またはジャズとセッションだったりとか。
色々なジャンルとの合奏曲がありますね。
それは、実験的な試みとしてあるだけでなく
例えば、ハープと尺八の為の曲とかがあり、
そういう日本の伝統楽器との曲も現代の作曲家は作っています。

-今まで、たくさんの場所で演奏してこられたと思いますが、
数ある演奏の中で特に、印象に残った演奏を教えてください。

五月女先生:幼稚園で演奏した時に、古典曲に手拍子がきた時ですね。
       純粋に受け止めてくれたのが、嬉しかったしびっくりしました。
米川先生:ドイツに公演に行ったときに、
      外国の方にも受けるような曲を練習していったのですが、
      こちらの文化を尊重してくださり
      日本の古典的な曲の方がウケが良かったです。
      異文化である日本の伝統音楽を理解してくださって、
      受け入れてくださったのですごいなと感激しました。
安島先生:今までの公演みなそれぞれに思い出がありますけど、
      ベトナムから書記長が来日して歓迎式典が行われた時に、
      日本らしさを取り入れたものにしたいという当時の総理の希望から、
      東京藝術大学の邦楽科に依頼がきました。赤坂の迎賓館の前庭で
      藝大の学生と共に演奏したのですが、1秒単位で細かく動きが
      決められていて、演奏もそれに合わせなければならない。
      いうなれば国を代表して演奏しているともいえますし、
      普段の演奏とは違う部分に神経を遣わなければならなかったので、
      とても緊張しました。
      嬉しかったのは、ベトナムの方が決められている時間を
      超えてまでとても興味深く見てくれたことです。その結果演奏の方は、
      予定と違うので時間超過分の調整が必要で大変でしたけれど・・・

-最後に三曲の中で先生方の一番好きな曲をお教えください。
米川先生たくさんありますが、
      「ながらの春」(流派によっては「長等の春」)ですね。
      あまり習ったことの無い曲だったのですが叔母が春に亡くなり、
      その納棺の時にふっと「ながらの春」が(実際にその曲がその場で
      流れていたのではないのですが、自分自身の頭の中でその曲が)
      聴こえてきて、その時から、好きになり、いつも春になると
      その曲を練習しています。でも、私達はまだ修行中の身なので、
      修練あるのみで、まだ好きな曲も嫌いな曲もないですね。
      他の方が演奏していてすばらしい曲だなと思うときはありますけどね。
五月女先生:僕は「六段の調べ」ですね。
       六段にはじまって六段に終わる。
       今の僕の先生やその前の先生のお稽古している姿を見ているのですが
       そのレベルに如何に近づくか。
       未だに先生方の様に弾くことが出来ません。
安島先生:難しい質問ですが「八重衣」ですね。難曲といわれていて、
      三曲合奏でやる場合はどのパートも非常に難しい。
      全曲を演奏すると30分近い大曲で、昨年の暮れにある演奏会でその全曲を
      演奏させて頂く機会がありました。今までどちらかというと
      苦手な曲だったのですが、その演奏会に向けて改めて取り組んだ時に、
      今まで感じなかった、特に尺八の旋律の良さ、みたいなものを
      感じることが出来たのです。そして、良い曲だなと思いました。

素敵な演奏と、インタビューにご協力いただき、
ありがとうございました。

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インタビュー後記
取材の前の事前学習のために、三曲の演奏のVHSを見てきたのですが、
生で先生方の演奏を聴くと全く別物でした。
もちろん、VHSの演奏も素晴らしいものだったのですが、
生の演奏はそれを遥かに超える素晴らしいものでした。
インタビューの中で先生方もおっしゃっていますが、
ホール全体に響く箏と三味線のメリハリの聞いた頭の音色と、
後から響いてくる尺八の音色との調和の美しさに、
いたく感動いたしました。
公益社団法人 日本三曲協会の米川文清様・五月女文紀様・安島瑶山様にインタビューいたしました。

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